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第1回 サウジでの女性の生活

氏名:コンスタンティネスク由紀子書記官
仕事内容:首都リヤドにある日本大使館で広報、文化を担当しています。

 

 

 

質問:サウジでは女性の労働人口が少ないと言われています。女性が働く上で苦労したことはありますか。

ほとんどありません。
お仕事でおつきあいをさせていただく方々は、サウジ人男性が中心ですが、びっくりするほど紳士的な方が多いです。イスラムの教えでは女性は保護しなければならない対象だそうですので、その考えが影響しているのだと思います。
サウジでは多くの省庁で男性しか働いていません。サウジ外務省と教育省には女性だけが働く建物があるそうですが。男性だけの省庁も、アポイントメントを取っていけば、女性外交官でも問題なく、仕事相手に会うことができます。ただし、サウジ女性が男性だけの職場に出入りすることはあまりないので、外国人は特例扱いなのかもしれません。
女性に触れることはタブーのため、握手をすることがあまりなかったり、男女二人きりで会うことは避けるようです。相手が女性だからといって威圧的な態度に出る方には会ったことがなく、むしろ女性だからこそ丁寧に接していただける印象を受けています。
ただ、サウジでは、基本的に親族以外の男女が同席をする習慣がないので、その点は常に留意して馴れ馴れしい態度や誤解を受ける言動は慎むべきです。
男性だけの省庁に行く際は、お手洗いが男性トイレしかなく、困ることがあります。

質問:車の運転はできますか。

外国人であろうと、サウジ人であろうと、女性の運転は一切禁止されています。自分は運転が得意ではないため、運転が出来ないことでストレスを感じることは少ないのですが、運転が得意な外国人女性はストレスを感じると思います。
また、サウジ人女性は治安上の理由で、一人でタクシーに乗ることはほとんどありません。公共交通機関がなく、かつ街が広くどこに行くにも車が必要なため、移動の際は若干不便です。常に家族の男性が運転してくれるか、運転手を雇うしかありません。
通常、コストの関係上住み込みの運転手を雇うことは難しいので、運転手は別の場所に住んでいるケースが多く、「今すぐ外出したい」と思っても、運転手が来るまで30分以上待たなければならないということもあり、不便なようです。
また、運転手も、南アジアやアフリカ系の方などサウジ人以外の方が多いのですが、道を知らなかったり、アラビア語も英語も通じなかったり、優秀な運転手に巡り会うまでに苦労される駐在員の方も多いです。

質問:服装はどうですか。

女性の場合は、外国人でも、サウジ人でも、男性が居る場所に行く場合は、アバヤという黒いマントのようなものを服の上から着用します。
アバヤには、レースや刺繍など様々な模様がついたものがあり、いろいろと買いそろえるのも楽しいものです。せっかくおしゃれな服を着ても、上からアバヤを着てしまうと見えないのが残念ですが、アバヤを活用したおしゃれもサウジ滞在の醍醐味です。また、アバヤを着ていれば、たとえその下がちょっとラフな格好でも、アバヤに隠されてフォーマルに見えてしまうので、便利といえば便利です。
イスラム教では頭髪を見せることはタブーで、サウジ人の女性は頭髪をヒジャーブ(スカーフ)で覆っていますが、非ムスリムの外国人女性はヒジャーブを使用せず頭髪を出している人も多いです。

質問:生活上、他に男女差が原因で不便なことはありますか。

サウジでは男女同席を忌避するため、レストランは、全てシングル・セクション(男性しか入れない)と、ファミリー・セクション(男女ともに入れる。ただし男性は必ず女性を同伴していないといけない)に別れています。大衆食堂ですと、シングル・セクションしかなく、女人禁制ということもあります。そういった店では、サウジ人のお父さんが家で待つ奥さんや家族のために、テイクアウトでご飯を買っている光景が見られます。
中級~高級店では、ほとんどの場合、男女ともに入ることができます。また、リヤドの中心街のレストランでは若いサウジ人女性だけで、楽しそうにいわゆる「女子会」をしていることを見ることもあります。
また、ほとんどのスポーツ施設は女性が立ち入り禁止なので、スタジアムにサッカーの試合を観に行くということもできません。外国人用のコンパウンドにはジムやテニスコートが併設されており、外国人の女性はそういったところでスポーツをする場合が多いようです。

質問:サウジというと、「宗教警察」と呼ばれるパトロール員がいるようですが、いかがですか。

宗教警察は正式にはムタワと言います。ムタワは公的機関で、その構成員は、モールなど市内の人が多いところでパトロールをしています。日本人のように見た目が明らかに外国人の場合はあまり厳しくチェックされることはなく、自分も頭髪を出して買い物をしていたら、通りすがりのムタワに「頭を覆いなさい」と言われたことは数回ありますが、拘束されたことはありません。注意されたときのために、ヒジャーブは常に持ち歩いています。また、1日5回の礼拝時間に、お祈りをせずに歩いていたからといって、拘束されることもありません。
サウジアラビアの人たちにとって、イスラム教はとても大切なものです。そのイスラム教に敬意を払うことは、お互いの文化を理解し、お互いが快適に過ごすために必要です。たとえイスラム教を信仰していなくても不用意に挑発するような言動や、目立つ言動を取ることは避けるべきでしょう。

(2013年7月現在)

*これらの内容は個人的なものであり、外務省や所属組織の見解を代表するものではありません。

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